大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(行ナ)182号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 原告は、本件審決が、本願発明をもつて、本件審決認定の公知事項及び技術常識を附加することにより引用例の記載から容易に推考しうる程度のものであり、旧特許法第一条の発明を構成しないものであるとしたことをもつて判断を誤つた違法がある旨主張するが、原告のこの主張は、理由がないものといわざるをえない。すなわち、当事者間に争いのない本願発明の要旨を引用例の記載内容と対比すると、原告主張の三点に関して差異のあることは、まさに原告の指摘するとおりであるが、他面、<書証>及び本件口頭弁論の全趣旨を総合すると、ガラス繊維製造用の多数の相重なる列のオリフイスを設けられた相当な高さの円周形壁を有する中空回転体は本願出願前周知であること、回転体から遠心力により射出されるガラス糸は回転体を囲む通路内の気体速度および温度の如何によりその牽引を左右されるものであることは、当業者の技術常識に属すること、したがつてガラス繊維製造の場合、遠心体より射出されるすべての繊維に対し、オリフイス列の高さの範囲における通路のどの部分においても、同一条件下に置かれることは望ましいことであり、そのためには、充たされた送風の中で、ほぼ一定の温度と速度を与えることが必要であることは当業者の容易に考えうるところであり、送風の量及び温度、速度の度合としては、原料の射出及び周囲の設備等の生産状況に応じて、ガラス繊維製造上の技術常識から、最善の具体的条件が適宜決定されるべきものであること、引用例のものは、「空気、瓦斯その他類似物の誘導をなすには、たとえば投擲盤の上部あるいは側部もしくは下部等に溝路又は管等を適当に分配して設け、かつ、これらに誘導せんとする空気又は瓦斯等の量を調整すべき公知の装置を具備するもの」であることを認めうべく、これらの事実を参酌して本願発明と引用例記載のものを比較考量すると、本願発明は、本件審決も認定するとおり、前認定の公知事項を引用例のものに附加することにより、本願発明の期待する作用効果を挙げうるものであり、したがつて、当業者が引用例の技術内容から容易に推考しうる程度のものであると認めるを相当とし、これを左右するに足る証拠はない。

(むすび)

三 叙上のおりであるから、その主張の点において判断を誤つた違法があるとして本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。よつて、これを棄却する。(三宅正雄 杉山克彦 楠賢二)

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